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音の棲む場所より

音の棲む場所より

群読台本「雪の女王」その1

ミュージカルコラージュと群読による
「雪の女王」

こちらは中学生&高校生が上演。
小学校高学年でもできます。
ウチは既存ミュージカルの歌唱は「いつもの練習」ですので
「やったことのある歌を組み込む」ということは実は楽な作り方(笑)
これは思春期の子供たちのワークショップとして
「自分の思いをちゃんと伝えよう」
という目的で「子どもたちに伝わる話し方・歌い方」の練習として企画。
公募参加(この企画のみに参加した子)もいましたので
「覚えて・演技して」はムリでしたから、台本をもったままの
「ドラマリーディング」の形にしてみました。


暗転・・・・開幕を告げる音楽

引き続きBGM:ジングルベル

ナレーターA  みなさん こんにちは
ナレーターB  きょうは クラーラキッズの冬のつどいへ ようこそ
ナレーターC  それでは そろそろ はじめることにしましょう
ナレーターD  最初は このうたから 「はじまりのうた」です。
 
(暗転のうちに全員登場、スタンバイで明るく)

音楽(はじまりのうた)

全員合唱  ようこそみなさん こんにちは ごきげんいかが
      ~
      本の世界は いつも たのしいくに
(間奏で)
ナレーターA さて 今日のおはなしは
ナレーターB 寒い寒い 北の国のおはなし
ナレーターC 人魚姫や みにくいあひるのこ 
ナレーターD それに マッチ売りの少女や モミの木
ナレーターA ほかにもたくさんのおはなしをつくった
ナレーターB あの ハンス・アンデルセンがつくったおはなし
ナレーターC ちょっと こわいけど ちょっと あたたかい
ナレーターD そんなおはなしを おとどけしましょう

ようこそみなさん こんにちは ごきげんいかが
わたしたちのはなしを きいてください

★タイトル画面に変わる

そらはじまるよ そらはじまるよ そらはじまるよ そらはじまるよ
(↑歌詞にあわせて、アニメーションが動く画像。高校生作)


ナレーターA    クリスマス といえば プレゼント
ナレーターB    クリスマス といえば ごちそうとケーキ
ナレーターC    クリスマス といえば サンタクロース
ナレーターD    いいえ クリスマスといえば どこかの神様の誕生日
ナレーターA    その神様は どこの誰?
ナレーターB    その神様は だれの神様?
ナレーターC    おれは 神様なんて 信じない
ナレーターD    それでも きっとなにか いいことがあるに違いない
ナレーターA    なにか すてきなことが あるに違いない
ナレーターB    なんといったって もうすぐ クリスマスなんだから
ナレーターC    そう もうすぐクリスマス。 だから 考えてみようよ
ナレーターD    ひとりぼっちの あの子のことを 
(BGM 合わせのための和音を3つ)

ナレーター全員   きのう、教室のすみっこで、ひとりで泣いていた 
          あの子のことを

ナレーターA    そしてこの絵本の中で 永遠に凍り付いてしまっている 
          あの子のことを

ナレーターB    その子を凍らせてしまった 
          白くかがやく 美しい人の事を

ナレーターC    凍り付いた心を とかそうとした 
          やさしいあの子のことを

ナレーターD    みんなで 話して聴かせよう あの子達のことを

ナレーター全員   この 「雪の女王」の物語と、 
          そして、もうひとり
          さびしさで、心が凍ってしまった、
          ひとりぼっちの あの子の事を
          みんなに 話して聴かせよう   

(息を合わせて、ウィスパリングにて)シィーッし・ず・か・に・・・。
 
(ナレーター達退場 暗転 暗転中にカイ登場)
カイ(男の子)   歌う(エリザベートより、「ママどこなの」)
          ねえ どこなの きこえてるの
          寒いんだ だきしめてよ
          みんなが ゆうんだ ボクがじゃまだって
          ここにいては いけないの
          ねえ 心が真っ暗なんだ
          目が覚めると  こわいんだ
          泣いても だれもこない ボクはひとりぼっち

(雪の女王 カイのうしろからそっと近づき、うしろから歌う)

雪の女王(男の子の心の声でもあり) (歌う)
         だれにも きこえない

カイ        だれ?(セリフ)
雪の女王      (歌)友達さ 呼んでくれれば きてあげる
カイ        ほんとう?
雪の女王      (歌)かならず
カイ        ボクは なるんだ つよい英雄
          きのうも ネコをころした
          勇気 ためしたんだよ でも ちょっと かわいそう
          ああ ねえ どうして だれもボクと話してくれないの
          きっと 明日も あさっても ボクは ひとりぼっち・・・

(音楽 残ったまま 次のセリフ)

雪の女王      どうしたね。 なにがそんなに さびしいんだね

カイ        あなたは だれ

雪の女王      わたしがだれかって  なんだ知らないのかい。
          そういえば 最近、あんまり、子どもの声を聴いたり
          子どもの手で さわられたり していないかもしれないねえ

カイ        その本は 何?
雪の女王      これかい この本は 私の本さ。
          私が誰か 知りたければ この本を読むと良い。
          この本が、おまえの心の氷も、
          もしかしたら友達の心の氷も
          とかしてくれるかもしれないからねえ。
(カイに本をわたす)
カイ      ありがとう わあ 重い。(開けてみる)
        それに ちょっと、漢字も多いよ。

雪の女王    ゆっくり ゆっくり 読むといい。
        急がないで  ゆっくりゆっくりとな。  
        じゃあ、また あとであおう  メリークリスマス!
(雪の女王 退場)

カイ      まだ、クリスマスには はやいよ!
        あ、もうどこかにいっちゃった。へんな人。
       (本を開いて、イスにすわる)
        アンデルセン作 「雪の女王」か。
        読んでみようかな。

(カイ 本をよむ姿勢のままフリーズ )
(音楽を合図に ナレーター全員登場 カイのまわりで歌う。
 カイ、フリーズ(動かない)のまま)

ナレーター全員  (歌う 夢から覚めた夢より「夢配達人」)
        人はだれでも 夢見る
        覚えているか ゆうべの その夢を はなしてごらんよ
        楽しい夢や 怖い夢 私が 配って歩く
        私は 夢の 配達人さ キミをいざなう 夢の旅路へ

ナレーターA  今日の夢は 北の国の夢
        夢の作者は ハンス・アンデルセン。
        ハンスは お話好きの男の子で、大きくなってからも
        たくさんの昔話を 国中の人から聴いて回った。
        このお話も、そんな昔話からできたものだという。
        さあ、はじめよう。雪の女王の物語を。

(暗転 ナレーター退場 ゲルダ登場 イスにすわる)

ナレーターA(陰) ある町に まるで兄弟のように仲のいい、
          男の子と女の子が 隣どうしで住んでいました。
          男の子の名は「カイ」、
          女の子の名は「ゲルダ」といいました。
           二人はいつも、
         小さな庭にあるバラのアーチの下で遊びました。
         そして、庭が雪におおわれる頃になると、
         暖かい部屋のなかで 
         おばあさんの昔話に耳をかたむけるのでした。

おばあさん   おまえ達、知っているかい。
        こんな嵐の夜にはね。雪の女王がソリに乗って、
         町にやってくるんだよ。
        そして、一軒一軒窓をのぞいては、
        お城へつれていく子どもを、さがすんだよ。

ゲルダ     その人、この部屋にもはいってくる?

カイ      入ってなんてこれるもんか。
        それに もし入ってきたら、
        ボクがストーブの上で溶かしてやる。

ゲルダ     雪の女王をストーブでとかすことなんて 出来るのかしら。
カイ      できるさ。 ボクはなんだって出来るんだ!

ナレーターA  そういって、カイは白く凍り付いた窓に目をやりました。
        窓は、白い花が咲いたように、雪がはりついていました。
        そしてそこには、きらきらと白く輝く美しい女の人が
        カイをじっとみつめていました。
        カイがはっとして窓にかけよると
        その人は、消えてしまったのでした。
(ナレーターA→ナレーターにマイクチェンジ)

ナレーターC  その年の冬はなにごともなく過ぎ去りました。
        雪がとけて春になり、そして夏が来ました。
        二人の小さな庭のバラは、また美しい花を咲かせました。
        教会の時計が5時を打ったときのことです。

カイ      あ、痛い! 胸のところがちくっとしたよ。
        目にも、なにか入ったみたいだ。

ゲルダ     どうしたのカイちゃん。だいじょうぶ?
        すごくいたいの?

カイ      ううん。もうだいじょうぶだよ。(いつもの声で)
        もう・・・ちっとも・・・いたくないや(悪魔の声で)。

ナレーターC  そう、もうどこも痛くはなかったのです。
        でも、それは、恐ろしいことでした。カイの目の中には、
         昔々、悪魔がつくった鏡のかけらが、
         ほんのちいさい粒となって
         はいりこんでしまったのでした。
         そして、そのかけらは、目の中でとけて、
         カイのちいさな胸のなかにまで
         はいりこんでしまったのです。
         そして、カイの心は
         氷のように冷たくなってしまったのでした。

悪魔(Cナレーションの間に、センター奥の壇上に登場)   
         こいつは、おもしろいや。
         あの鏡には、なんでもみにくく、
         ゆがんでうつるんだ。
         ちょいといたずらしようと思ったら、
         神様にこなごなに、こわされてしまったんだが、
         どうやらおもしろいことになりそうだ。

ナレーターC   そう、悪魔の鏡の魔力は、ちいさなかけらになっても、
         その、おそろしさに かわりはありませんでした。
         あんなにやさしかったカイの瞳は
         急に、おそろしいほど、冷たく怖く光っていました。

カイ       なんて、きたない花なんだ。ほらほら、こんなところに
         虫がくっついてらあ。こんな花、こうしてやる。

ゲルダ      カイちゃん。なにするの。
         バラをそんなにむしりとるなんて、
         かわいそうじゃないの。

カイ       へーんだ。知らないよー。 
         そんなへんな花なんて、どうだっていいじゃないか。

ゲルダ      どうしたの、カイちゃん。
         なんか、今日のカイちゃん、こわい。
         なんだか、カイちゃんじゃないみたい。

ナレーターC   そう、カイはもう、
         前のやさしい男の子ではありませんでした。
         カイは、
         もう悪魔の思い通りになってしまっていたのです。

(音楽 合図に ゲルダ、ナレーターC、悪魔、退場 )

(音楽残って、ナレーターC→ナレーターDに マイクチェンジ)

ナレーターD  冬が来て、また雪が降り始めました。
        町の広場では、子ども達が元気に
        ソリで遊んでいました。
        大人達は
        「あぶないから、
         大きなソリのあとについていってはいけないよ」
        といいましたが、いたずらな男の子たちは、
        大きなソリがとおりかかると、自分のそりを、
        そおっとむすびつけて、
        びゅんびゅんとすごい速さですべることができるのを、 
        おもしろがっているのでした。
        そして、その様子を、
        雲の上から、見下ろしている人がいました。

         それは、あの雪の女王でした。
        雪の女王は、大きなそりを雲の上にとめて、
        長い髪を冷たい風になびかせていました。
        
        でも、女王に気づいた者は 
        だれもいませんでした。

カイ  あ、あの白いそり。なんて大きいんだろう。
    あんな大きなソリ みたことないや。 
    きっとだれよりも速くすべるんだろうな。
    ようし、このひもをあのソリにむすびつけてやろう。

ナレーターD  そういうと、カイは自分のちいさなソリを、
        その大きな白いソリにむすびつけました。
        とたんに、そのソリは、すごい速さで走り出しました。

(音楽 はげしく 雪の女王 登場)

雪の女王 とうとう つかまえた。
     つめたい心をもった。わたしによく似た子だ。
     おまえの心は、悪魔の鏡のおかげで氷のようだ。
     きっと、よい話し相手になるにちがいない。

ナレーターD  風がうなり、雪はどんどんはげしくなっていました。
        カイは、こわくなってきました。
        そしてこの大きなソリからはなれようと、
        大きな声をあげたり、
        なんとかひもをほどこうとしたりしましたが、
        どうすることもできませんでした。
        そうしているうちに、ソリは、ますます速く走り、
        とうとう雲の上まで上っていきました。
        そして、やがて、しずかに止まると、ソリから
        白くかがやく女の人がおりてきました。

雪の女王    おやおや そんなにふるえて かわいそうに、
        さあ、このマントの中におはいり
(白いマントのなかにカイをいれる)

ナレーターD  それは、おそろしいことでした。
        雪の女王のマントのなかにはいると
        カイは、怖かったことも、寒さも、
        そして、
        やさしいゲルダやおばあさんのことも。
        いままでのことをすべて
        わすれてしまったのです。
        カイの心は、かたくかたく、凍り付いてしまったのでした。
        
         雪の女王は、カイをつれて
        はるか地の果ての氷の国へむかって、
        とびさってしまいました。
(音楽悲しく 雪の女王、カイ 退場 暗転 ゲルダ登場していて)

(ナレーターB 暗転のまま 陰から)
ナレーターB   カイがいなくなってからというもの、町のひとたちは
        「カイは、きっと 
         川に落ちてしんでしまったにちがいない。」
        といいました。
        ほかの友達もおばあさんも、みんなそう思っていましたが、
        ゲルダだけはちがいました。
         ゲルダは、川や、お日様や、花たちが、
       「カイは生きているよ」という声をきいていたのです。
        そして、ゲルダの心のなかにも
       「カイは生きているよ」という声がしていたのです。

(音楽明るく)
( ゲルダセンターで コロス(合唱) ゲルダをかこんで、
 花や鳥を持ってスタンバイ)

ゲルダ        (歌う「いつも何度でも)
  呼んでいる 胸のどこか奥で 
  いつも心おどる夢をみたい
  悲しみは数え切れないけれど  
  そのむこうできっとあなたに会える
  さよならの時の静かな胸 
  ゼロになる体が耳をすませる
  生きている不思議 死んでいく不思議
  花も 風も 町も みんな同じ

  呼んでいる胸のどこか奥で 
  いつも何度でも夢をえがこう
  悲しみの数をいいつくすより 
  おなじくちびるで そっとうたおう

(音楽そのまま   ナレーションはいる)

ナレーターB   ゲルダは、自分の心の声を信じました。
          そして、自分を励ましてくれる、
         川や、鳥や、お日様や、花たちの声を信じました。
         そして、ゲルダは、たったひとりで、船にのり、
         川をくだって
          カイをさがしにいくことを決心したのでした。

(音楽 寂しく )
ナレーターB→ナレーターAにチェンジ、花園の魔法使い 登場)

ナレーターA ゲルダをのせた船は、どんどん川をくだってゆきました。
       ゆらゆらと流れて、どんどんと流れて
       やがて、ゲルダの船は、
       おおきな花園の一軒の家のそばに流れ着きました。
       花園からでてきた人は、
       花でかざっった大きな帽子をかぶった不思議な女の人でした。

花園の魔法使い おやおや、めずらしいお客さんだね。どうしたんだい。
        おまえは、どこへいく気なんだね。

ゲルダ     わたし、お友達のカイちゃんをさがしているんです。
        ここに、カイちゃんっていう、
        わたしくらいの男の子が来ませんでしたか。

花園の魔法使い さあて、どうだったかねえ。
        その子が、あんたの友達だっていうんだったら
        きっと、もどってくるさ。
        それまで、ここで、まっておいで。

ナレーターA   この女の人は、この花園にすむ魔法使いでした。
         といっても
         悪い魔法使いではありませんでしたが、
         ながいことひとりぼっちでここに住んでいましたから、
         ゲルダを、すこしでも長く
         ここに、ひきとめておきたかったのです。

花園の魔法使い  ほら、こっちへおいで、
         ここで、さくらんぼでもたべるといい。
          それにおまえの髪の毛は、くしゃくしゃじゃないか。
         どれ、わたしがとかしてあげよう。

ナレーターA   そういうと、魔法使いは、
         金のくしでゲルダの髪をとかしはじめました。
         すると、金のくしが、動くたびに、少しずつ、少しずつ、          ゲルダは、いろいろなことを忘れていきました。
         なつかしい家の事も、
         美しかったバラのアーチのことも、
         そして、とうとう
         大切な大切な カイのことも、
         ゲルダはすっかりわすれてしまったのでした。

(つづく  笑)

(長くなるので2ページに分けます)



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